この記事は、物理の力学を勉強する記事です。
高校生、大学1年生向け、またはスキー理論の元をちゃんと勉強したい人向けです。
力学というのは、スポーツにおいて非常に重要な学問です。SIA(日本プロスキー教師協会)の教師の資格のを取るときにも、検定科目に入っています。
多少は力学を理解しておくと、スキーにもプラスにつながる可能性があります。
だからこれを読んでいる人が、もし学生であるならば頑張って力学を勉強しておくことをお勧めします。
早速内容に入っていきますね。
今の力学の体系を作り上げたのが、ご存じニュートンさんです。
ニュートンの運動の法則は、3つあります。3つありますがそのうちの一つに注目してみますね!
「慣性の法則」です。名前は聞いたことありますよね。
この慣性の法則について、私が発表した電車トレーニングを例にして説明します。数式は一切登場しません。
慣性の法則を調べてみると、wikipediaではこう書いてあります。
すべての物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける
これで理解できる人は困らないと思いますが、私も含めて多くの人は理解不能でしょう。
もっと簡単に説明しますね!
慣性の法則とは、「すべての物体は、外から力を加えない限り今の状態(運動)を保とうとする」これだけです。
一言で簡潔に表現するとこうなります。しかしこれでは抽象的すぎてわからないでしょう。もっと具体的に説明していきます。
まずは電車をイメージします。
電車の例①
①ホームに電車が入ってきて、ドアが開き車内に入りました。
②進行方向を向いて立ってください。(電車もあなたも静止しています)
③電車が動き出しました。⇒この時あなたは後ろに引っ張られるように感じるでしょう。
これが慣性なんです。あなたは静止した状態を保とうとしています。ここに電車が勝手に動き出してしまったため、後ろにバランスを崩すのです。あなたは今の状態を保とうとしたけど、電車が動き出したためバランスを崩した。
誰も後ろに力を加えていないけど、後ろに力がかかったかのような感覚になります。このような見かけ上の力を慣性力とも言います。
スキーの例①初心者編
あなたは初めてスキーをやった時のことを覚えているでしょうか?
覚えていなかったら、初めてスキーをやる人をイメージしてください。初めてスキーをする人を見ると、慣性が働いているのがすっごくよくわかります。
初心者は少しスキーが滑るだけで、後ろに倒れてしまうのです。滑り出した瞬間に後ろにバランスを崩します。これはさっきの電車と同じですよね。スキーは滑るのに、自分が何もしなければ(慣性が働けば)当然後ろに転びます。
今度は止まる時です。減速するときに体が前に倒れます。さっきは後ろに転んだと思ったら、今度は前に転ぶんです。
スキー初日ってみんなこうなります。
スキーの動きに合わせて重心を前後に移動しないといけないのです。そうしないとバランスが上手くとれないですよね。もし慣性がなければ、前にも後ろにも転ぶことはないはずです。
スキーの例②上級者編
スピードを出してカービングターンをしているとしましょう。
あなたは外側に引っ張られてバランスを崩さないように、脚・体をターン内側に傾けていますよね。
ターン内側に傾かないと外に投げ出されてしまいます。
このターン外側に投げ出す力ってなんと言っているかわかりますか?
そう、「遠心力」です。
これも実際には外に力がかかっている訳ではなく、内側に方向を変えているため、外に力がかかっているように見えるだけです。
見かけの力です。だから遠心力も慣性力の一種なんです。
理解できたでしょうか?慣性の法則が働いているから、遠心力という見かけ上の力が発生するのです。
スキーの話につなげるとすれば、ターンしているということは、運動の方向が変わっているということです。(←これが外からの力)
だからそれに合わせて、常に重心移動していかないと上手くバランスはとれないんです。(←これが内側(自分)の運動)
もし慣性が無ければ、外からの力が加わったときに自分が運動しなくてもバランスは取れているはずです。でも慣性が働くから自分も運動をしないとバランスが取れないのです。
最初に私が定義したものをもう一度読んでください。
慣性の法則とは、「すべての物体は、外から力を加えない限り今の状態(運動)を保とうとする」
わかりましたか?
「外からの力」っていうのが、遠心力をはじめとした慣性力です。
外からの力を加えない限り今の状態を保とうとするのだから、外から力を加えたら今の状態は保てないですよね。保てないから自分が動くことでバランスを取っているのです。
これで終わりにします。
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スノダノブユキ